ヒプノセラピー(催眠療法)は心の奥底に潜っている問題を探り当て、改善する方法です。
ヒプノセラピーを行うにはまず催眠状態へ誘導しなければいけません。テレビなどで速攻系の誘導をよく見ますが、ヒプノセラピーはゆっくりと受け手の潜在意識と語り合い、改善する方法なので段階的に誘導する方法を取ります。
ヒプノセラピーの誘導方法はどんなものがあるのか。今回はヒプノセラピーと誘導についてお話します。
ヒプノセラピーの4つの誘導方法
ヒプノセラピ―誘導とは、起きている状態からトランス状態(催眠状態)に誘導する技術のことです。
五円玉を揺らしたり、点滅する光をじっと見させたり、相手をリラックスさせるのも誘導法になります。
有名な誘導法として4つの方法を紹介します。
①段階的なリラクゼーション方法
相手を徐々にリラックスさせ、段階的に催眠状態に誘導していく方法です。
優しい言葉で体を段々弛緩させ、脳には気持ちの良いイメージを浮かばせてリラックスさせます。心身共にリラックスさせながら誘導していく方法です。
例えば、
・まぶたの力が抜けていきます
・首の力が抜けていきます
と体のパーツをひとつ、ひとつリラックスさせて全身の力を抜いていきます。
このヒプノセラピーの誘導方法は少し時間がかかりますがクライアントのこわばった体をゆるませてあげるのに有効です。
ただ、集中力のない方は途中で飽きてしまいますのでご注意ください。
②権威的な誘導方法
権威的誘導法は中世の催眠士たちが使用したテクニックで古典催眠と呼ばれています。催眠士は医者などの権威的な存在であり、受ける側は弱い立場である必要があります。
権威者からの一方的な命令を、お医者様が言うのだからとクライアントが受け入れる関係でなければなりません。昔は、医者が患者にろうそくの火を凝視させ、一点集中することでトランス状態へと誘導していたようです。
現在の方法では、ある1点に意識を集中させてまぶたが重くなることを感じさせていきます。
③許容的誘導
受け手に選択肢を与えながら、
・まばたきなどの相手ができること、
・その人がもつ体験や特定の言語パターンを利用して徐々に誘導していく方法です。
一方的に命令するのではなく、選択肢を与えることによって無意識に影響を与える誘導法です。主に相手に起こっている現象をヒプノセラピーを行う側が説明をするということです。
④混乱法
中々催眠がかからず、トランス状態に入れない時に行う方法です。
無意識の領域である潜在意識は95%であり、普段自覚のある顕在意識は5%と言われています。
この潜在意識に働きかけることによってヒプノセラピーを行うために、顕在意識に何かすべき仕事を与えます。
顕在意識に仕事をさせている間に潜在意識とコミュニケーションを取り、顕在意識の仕事が終わった頃にはトランス状態に誘導できるようになっています。代表的な方法が「黒板誘導法」です。
ヒプノセラピーと誘導方法
ヒプノセラピーにおいて誘導はどれぐらい重要なのでしょうか。
ヒプノセラピーを行う時、まずカウンセリングから始まります。
・どんな問題で悩んでいるのか
・それはあなたにとってどれぐらい問題なのか
・いつから悩んでいるのか
・その問題にかかわる過去の体験
・自分が思い当たる原因
・最終的に自分はどうなりたいのか
問題の詳細や受け手の問題にかかわる話を詳しく聞き出し、受けてから思ったことを話してもらうことが重要です。それによってどのような誘導法やヒプノセラピーを行えばいいのかを見極めます。
この誘導を失敗するとトランス状態に入ることができません。また、誘導失敗により受け手からの不信感から暗示がかかりにくくなる可能性もあります。
なので、ヒプノセラピーにおいて、誘導は催眠をかける最初の大事な一発目です。相手にとってどのような誘導方法が有効なのかを見極めて、熟慮してから誘導してください。
催眠誘導をした後、トランス状態に入り無意識に働きかけ、言葉やイメージによる暗示性を高めていきます。そして受け手が望む最終的に自分はどうなりたいイメージを植え付けさせ、ヒプノセラピーは終了です。
まとめ
ヒプノセラピーにとって、誘導はとても大事なものです。建物で行くと最初にくぐる扉のようなものです。
その扉が開かなければ催眠をかけることもできないし、誘導失敗の不信感のせいで堅く閉ざされてしまうでしょう。
この受け手にはどの誘導方法が有効なのかしっかりと見極めてから、ヒプノセラピーを行ってください。